送り火当日。
この日のために1年間の作業がありました。
台風情報を気にしつつ、今年も送り火の成功のために皆で力を合わせます。

参加者:保存会、社会人・学生ボランティア ボーイスカウト 土の塾ボランティア 100名前後






保存会の方々は朝6時より、銀閣寺門前にて護摩木・割り木の販売をしていました。午後3時には締め切り、それから薪や集まった護摩木・割り木を山頂へあげます。

香樹庵メンバーは午後3時に事務所へ集合し、登山を開始しました。
途中、千人塚のあたりでボーイスカウトの皆さんと出会います。元気な子供たちを見て羨ましさを感じつつ、息を切らせて登り続けました。



3時半過ぎ、山頂へ到着します。
全員滝のような汗ですが、荷物を倉庫に置いて休む間もなく作業開始です。
まずはリフトで山頂に運んだ薪や護摩木を金尾付近へ運びます。
効率よく運ぶため、これらの作業はバケツリレー方式で行います。

薪を両手に抱えるために長袖を着用しますが、非常に暑い・・・でも怪我をしないためには必要なのです。






金尾付近にいったん集めた護摩木・割り木を、今度は各火床へ運びます。「大」の字の流れに沿った階段に移動し、再び薪のリレーです。

まずは割り木を各火床に5束ずつ、次に護摩木はダンボール1箱ずつ配ります。

最後に運ばれるのは消火用の水が入ったポリタンクですが、これが非常に重いのです。学生ボランティアは女性が多いので、皆必死です。

これらの作業が終わればボランティアの仕事は終わりです。火床を組み上げていくのは保存会の各ご家庭のお仕事です。
ボランティアがお手伝いできることは、伝統行事の意義を考えたときに限られてきます。そのバランスを考えながら、伝統文化の継承のお手伝いをしていきたいというのが香樹庵の考えです。






各火床へ配られた護摩木・割り木が次々に組み上げられていきます。組み方が悪いと火を点けた時に早く崩れてしまうので、大変難しい作業です。

各家庭の子供たちもお手伝いをしています。
こうして代々、大文字送り火は銀閣寺山麓の住民たちが受け継いできた文化なのです。



中央の金尾も組みあがってきました。
周囲に点火用の麦わらや、卒塔婆が置かれていきます。

この時点で午後6時頃、次第に空が暗くなり、点火の時間が近づいてきます。






7時20分、大師堂にて読経が始まります。
保存会の面々が声を揃え、周囲に厳かな雰囲気と緊張が満ちてきました。

読経が終われば、いよいよ点火です。









8時。
松明に火が点けられました。

「南の流れ、よいか―――っ」
「北の流れ、よいか―――っ」
「一文字、よいか―――っ」
会長の声が夜空に響き、それに応える皆の声。
点火です。


まずは金尾に火が点けられ、追ってそれぞれの火床が点火されます。
始めは小さな火が風を受けて、夜空に大きく炎を上げます。近くでは髪の毛が焦げそうなほどの熱さ、炎の迫力と共に圧倒されます。




山頂からは京都市中からフラッシュが焚かれているのが確認出来ます。
やがて各山々に点火されていく、妙・法の文字、船形、左大文字、鳥居形・・・京都の夏の夜が今年も送り火で囲まれました。